脱皮と湿度の密接な関係とは?
脱皮で重要なのはカマキリを飼育しているケースの湿度です。
水分がないとうまく皮を脱ぐ事が出来ません。
しかしカマキリやバッタと言う虫は見るからにですが蒸れには弱い生き物です。
蒸れない程度を意識しつつ湿度はしっかり保ちましょう。
何%など厳密な数字はわかりませんがひたひたに湿らせた脱脂綿などを入れておけばある程度湿度は保てるものと思います。私の場合はこれを2、3日に一度程度で交換します。大体餌やりのタイミングで一緒にやってしまいます。これ系の話は餌と水分の項目でもまとめてあります。
我が家は昼間は日光浴もさせているのでその時はかなり湿度が失われているものと思います。
ですから大体昼間に日光浴をして夜には必ず霧吹きをしています。私の飼育ケースの場合は蓋を通気性の良い素材にしているので蒸れの心配は少ないと思われます。むしろ蒸れ防止の為にそういった仕様にしています。しかし幼齢のカマキリに対しての霧吹きの使用はカマキリが霧吹きの水滴によって溺れたりする危険も伴います。
使用する飼育ケースと相談しながら合った加湿方法を探していって下さい。
我が家の飼育ケースは基本排水溝ネットを二重に被せて蓋にしています
飼育環境については用意する物の項目で詳しくご紹介しています。
コバエをシャットアウトするような気密性の高いケースの場合はおそらく湿らせた脱脂綿ひとつ置いておけば霧吹きを使用しないでも湿度は保てると思います。天候などにもよりますがこれで霧吹きをしてしまうとおそらく蒸れてしまいます。
脱皮を行う際には湿気は必要とするのですがその後体を乾かす工程に続くのであくまで湿度は適度にを意識して下さい。乾燥が気になる時期だとまたどの程度保湿を要するか変わってきます。冬場の孵化をした場合などは飼育環境にもよりますが必要あれば気密性が高いものの方が安心かもしれません。
カマキリは餌から水分をとっているので水分は与える必要はないと言う記述を目にした事があります。
カマキリは私の知る限りよく水を飲む生き物です。特に幼齢のカマキリには水は不可欠です。
脱脂綿から給水する姿も見かけますし、霧吹きのタイミングは必ずと言う程ケースの壁についた小さな水滴を飲んでいます。この時ばかりはお祈りポーズではなく威嚇ポーズに似たような両鎌を広げた形で口元を伸ばして給水してます。臥せっている様なこの姿がなんだかまたかわいいので是非試してみてほしいです。
大きくなってくるとあまり水分補給する姿を見かけなくなる気がします。幼齢の頃は水分をよくとると言われているので大きくなるとあまり水分をとらないものなのかもしれません。餌から水分をとれると言われるのはこの為かもしれませんが与えておいて損はないと思います。脱皮の際にも水分は湿度を保つために活用出来ますからね。
おそらく水分を餌以外に与えないでも大丈夫だった?例を予測してみると気密性が高い、かつ狭いケースの中であまり日に当てずに飼育した場合でしょうか?ケースが狭くて気密性が高かったらその分湿度は保たれる様になりそうですよね。そして日光に当てなければそこまで水分の蒸発もしなそうです。しかしその様な環境では恐ろしくて私はとても飼育出来ません。脱皮の時に確実に無理が出てしまうだろうと予測出来るからです。狭い時点で既に脱皮は失敗する確率が高くなりますし。湿度の管理をされていないのであればうまく皮を脱げずに失敗してしまうだろうと思います。
様々な条件が重なって「うまくいく場合」と「失敗をする場合」があると思います。
時には水を与えない方が良い場合と言うのも勿論あると思いますし見極めていきましょう。
飼育をしたからには出来るだけ脱皮不全や羽化不全を防いであげる配慮をしたいですね。
脱皮直後のカマキリ
私自身手探りの飼育から始まりましたが色々な本やサイトを比較して調べたり試したりするのはまず大事です。しかしその上で
本やネットに書いてある事をただ鵜呑みにしてはいけません。
あくまでそれらは参考材料として実際どう飼育するかは自分で考えてあげるのが必要です。
文献や学術的な記述などで言い切る話があってもその話はその後また更新をされている可能性もあります。だからこそいつでも最新の情報を更新していけるようにと当サイトでも思って居ます。
いつでも何事に対してでもそうですが情報+考える事をしていきましょう。
本やネットを書いた人の飼育環境を丸ごとそのまま再現するのはなかなか難しい事ですよね。それぞれの飼育環境と言うのがあるはずです。お住まいの地域ひとつにとっても違いが出てくるものです。だからこそ自分が用意出来る飼育環境での飼育方法はよそのカマキリとはまた違ってくるところがいくつも出てくるはずです。
失敗を恐れずにやってみて下さいと言いたいところですがこればっかりはカマキリの命がかかっています。確実に守り抜いてあげられるように失敗をしないようにするにはどうするかしっかりと考えて試してあげて下さい。
私の場合は脱皮をするであろう個体には少し多めに加湿していますがこれも飼育環境によるかと思います。
これがいいと言う形というのはそれぞれの飼育環境を実際に目の当たりにしないとわからないものだと思うので参考程度にどうぞ。
住環境によっては正解も不正解になりかねません。
ちなみに先にも触れましたが加湿を霧吹きでする際にはその滴が滴って大きな水滴を作る事があります。こういったものはティッシュでこよりを作って吸い取っておくと良いかと思います。時として陸の王者と言われるカマキリも実は思っている以上に華奢な作りの生き物です。幼齢とあらば僅かな水滴でも足を取られて溺れてしまう可能性があります。表面張力が水滴にはあるので危険なものになります。しっかり霧吹きをした後のケースの中も危険がないかチェックしてあげましょう。
また脱脂綿で加湿をした時も同じです。溺れる心配のある余分な水分は取り除きましょう。ひたひた過ぎる脱脂綿だと周りに染み出る水分が案外あふれていたりします。またカマキリだけでなくそれよりも小さい餌の虫にも配慮をしてあげましょう。せっかくカマキリの餌になって貰う為に私たちが運命を決めてしまったのに目的と違って溺死して無駄死には気の毒です。
瓶などに水を溜め脱脂綿を詰めて水分補給させる方法だと暫く湿気が持つので湿度管理をする上では楽かもしれませんが何かの拍子に脱脂綿を越えてカマキリが溺れてしまう可能性が出てきます。しっかりそうならない様に隙間を埋めてそれでもやはり心配な場合は他の方法をとって加湿をしましょう。
脱皮が近そうなカマキリには保湿を絶えずしておきたいものです。
また旅行などに出かける際にはどうしても水分の長期持続が必要になります。そういった場合は瓶の方法も使えると思いますが、小さいサイズのお弁当に入れるおかずカップやペットボトルの蓋なんかに脱脂綿に水分をひたひたにして入れておくと普通に脱脂綿だけ置く方法よりかは長持ちするし瓶の様に溺れるスペースもできにくいものかと思います。
色々試して危険じゃない&楽な方法を選んでいきましょう。
また飼育している生体が水分補給を溺れる事なく出来る道具もメーカーなどから出ていて爬虫類を扱うショップなどで売っています。
しかしわざわざ買うよりもこちらは自作した方が経済的かもしれません。
作る場合の材料は
・タッパー
・水を吸いあげる紐や紐状のフェルトなどの布
だけです。
作り方はタッパーの蓋に紐やフェルトが通る穴をあけて通し、中に水を入れて蓋をします。こうすると紐が水を吸い上げて立派な給水場が出来るそうです。この時穴とタッパーの蓋の間に隙間が出来ないようにしましょう。
図説するとこういったものになります。
ちょっと図が分かりにくいですね(笑)図の赤いのが紐になるのですがこれをタッパーの底につく様に設置しましょう。そうしたら自然と水を吸い取ってくれるので溺れる事なく水分補給を出来ます。
しかしこれだと水分補給をする点では有能ですが加湿をする意味だと蓋があるので微妙ですね。餌の虫になら使える子もいるかもしれませんがコオロギなんかは案外登れなかったりするので、一応って感じになるかもしれません。
★2018年度保湿方法追加項目
脱脂綿を床面に設置するのは撤去時についでに掃除も出来て便利ではあるのですが、餌の種類が初齢2.3齢程度までのショウジョウバエメインから3、4齢でコオロギメインに餌が変動するとどうしても脱脂綿の影にコオロギがか隠れがちになってしまいます。3、4齢。もしくはそれ以前の小さなカマキリに与えるコオロギはカマキリ以上にとても小さいので余計にそうなります。
この対策として、我が家では4齢程度まで飼育カップで飼育をしているのでカップの底に脱脂綿を設置するのではなく排水溝ネットの蓋の上に設置をするようにしました。この方が交換も便利だし糞などで脱脂綿が汚れる心配がありませんでした。
しかしカップの外に脱脂綿を設置する事になるので底に設置をするよりも多少脱脂綿が乾きやすい様な感じはありました。霧吹きも去年よりカマキリが幼い頃から使用をすることになりました。
ただ霧吹きをすると壁面に噴射をしたつもりでもどうしても底面に滴ってしまう事が問題です。
カマキリも溺れる可能性が出てくるし餌のコオロギも同じく。そして糞などが水で溶ける事によりとてもカップ内が不衛生になりがちになります。
この問題を解決する為には霧吹きをしたのならセットで「底面をふき取る」と言うひと手間を必須にするようにしました。こうする事で都合良く加湿をしていけるようになりました。
ケースが大きくなってからは、飼育カップとしていて使っていたカップの底の部分だけを切り取って浅いお皿の様にします。この中に脱脂綿を2枚水でひたひたに濡らして入れるようにしています。これ+最低でも朝夕で霧吹きをしています。出来るなら昼間もします。
しかしそれでも脚をぬけがらにかたっぽ突っ込んだままになってしまう不全の個体がたまに出たりもします。
だから完璧ではないのでしょう。脱皮のタイミングがいつかにもよりけりなので難しいところですが。
脱皮と羽化の違いは?
脱皮を何度か繰り返していると一体あと何回脱皮をして羽化するんだろうと心配になる事があります。焦っても仕方ないのでゆっくり見守っていくと共に僅かな変化を見逃さないようにしましょう。
羽化をする目安となる翅芽については前の項目で触れましたが、羽化は脱皮以上に大変な作業で失敗すると飛べなくなったりします。脱皮がまだ残っているのなら失ったパーツなども修正がきく可能性がありますが羽化をする最後の脱皮をしたらもうどうにもなりません。そのままの状態でカマキリは一生を全うする事になります。
その後の修正がきかないと言うのが脱皮と羽化後の決定的な違いだと思います。
ここで脱皮から羽化の流れへ入っていくカマキリを見てみましょう。
下の写真は2017年8月12日 土曜日 23:36
まだ翅の広がっていない左足を抜いている最中のオオカマキリです。
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この態勢から体を起こして上に捕まるか一度下に降りて止まれる所に上り上向きになるかが我が家では多い流れでした。逆さま状態から頭を上、もしくは床と並行の状態にして翅を徐々に伸ばしていきます。脱皮の際の最後にお尻の部分をスポッと抜きますがその様子を撮った実際の動画はこちら↓
見てて気持ちいいですよね(笑)
背中~後足までは脱げきらないと心配になりますがお尻の部分は問題なさそうですね。
さて羽化に戻りますが
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2017年8月13日 日曜日 0:00
上の写真が翅を伸ばし切った状態になります。
こちらの個体は羽化不全を起こしてしまったので特別に止まり木代わりの大量の排水溝ネットクッションを導入しています。
1、の脱皮をほぼ終えた状態から翅を伸ばし切るまでの所要時間はこのカマキリの場合約25分程度でした。
大体30分以内で伸ばし切るところまでは来れる感じでしょうか?
伸ばした状態はヒラヒラとしていてスカートの様です。
ここからまた時間をかけて翅を乾かした後に畳む作業に入っていき成虫のカマキリの普段の形になります。翅を伸ばしていく様子の動画はこちら↓
長いので早送りしてみる事をオススメしますwちなみに半分くらい伸びたところから最後らへんまでの動画になります。実際はもっともっと時間は長いのです。
脱皮の失敗もですが羽化の失敗は一層カマキリ的に気の毒なので脱皮の時と同じくこの時は湿度の管理はもちろんケース内で羽化をして羽を広げて乾かす際にスペース的に邪魔になるものはないか、そして脱皮をしやすい捕まりやすい足場は用意されてるか餌は十分に食べているかをいつもより気を付けて管理してあげましょう。
動画だとちょっと足場が不安定ですね。けど変な位置に置くと邪魔になるし…難しいところです。
まぁ日頃の管理が出来ていればそんなに難しい事ではありません。大体どの範囲なら大丈夫かが分かってくると思います。カマキリを飼育すると共に自分も飼育者として成長して羽化の頃にはしっかりカマキリ博士となってられるようでありたいですね。この段階で焦るのではなく脱皮段階で羽化を予測して準備をしてあげておくと安心です。
もし羽化に失敗をしてしまったらどうするか。これはケースによりますが脱皮失敗の時と同じくスポイトなどで水分を少しカマキリの羽化困難な部分に垂らして爪楊枝や綿棒など細いもので正しい形に修正をしてあげる方法がとれる事があります。あくまでこちらは自己責任で優しく優しく行ってあげて下さい。どの時点で羽化が困難かは前もって羽化の流れを把握しておけばわかると思います。予習は大事です。
脱皮不全や羽化不全についてはこれって治るの?脱皮不全羽化不全とハラオレの項目をご覧下さい。
脱皮の流れは上記で説明をしましたが、羽化の場合脱皮と同じ工程を経てさらにその後羽を伸ばす作業に入っていきます。
脱皮だけでも一苦労だったのに更に羽を伸ばす作業をカマキリは追加で行わないとなりません。時間もその分長くななります。これはとても負担ですよね。体が伸び切った後でも残りの羽の部分がしっかり上羽に収納されるまでは安心なりません。
羽化の失敗の仕方も様々ですが、羽が縮んだままで伸び切らなかった、逆に羽が伸びたままになってしまった、もしくは羽ではなく体の一部の欠損や首の部分の伸びそびれ、張り付いてぬけがらが脱げない、足場からの転落などいくらでも危険はあります。どの時でも深刻な湿度不足、もしくはカマキリの体力不足が予想されます。転落に関してはカマキリの足場の安定感の不十分さが原因でしょう。どのケースでも私たち飼育者がフォローをしておけばいくらでも防げる形です。くれぐれも環境を整える事は毎日欠かさず注力しておきましょう。
よーく観察をしてあげるといろんな事が分かるし楽しいですよ。しかしあまりに過度にケースから出したりしているとカマキリのストレスになるのであくまでケース越しの観察をメインに控えめに観察してあげましょう。
脱皮前はカマキリはあまり動かなくなりますが私は最初カマキリを飼育した時その様子の理由を脱皮とくみ取れなかったので死んでしまったのではないかと心配してケースの側面を叩いたりしてちょっかいを出して生きてるかどうかを確認したりしてました。今思うとカマキリにとってとても迷惑な話であったろうと思います(反省)
そもそもカマキリは脱皮を何度もするのでいつでも脱皮の準備態勢と言えるのかもしれません。予断を許さないですね。
カマキリの身体測定を定期的にしている私ですが脱皮準備態勢と思われる個体がいる時は時を待ちます。そういった個体が無事脱皮を終えて丸1日程度たってカマキリ全員が活動的な時にケースから出して改めて身体測定を行っています。複数いるとタイミングがなかなか難しいのですが全体が同じ齢になったくらいが大体ねらい目となっております。
30cmものさし最高