羽化前の飼育

羽化を控えたカマキリの飼育はより慎重に!

幼齢の小さなカマキリの飼育は見るからに慎重さが必要となりますが、順調に脱皮を繰り返して大きくなっていくにつれてその成長にカマキリの力強さ逞しさを汲み取り安心感を感じられる様になっていきます。カマキリを孵化時や幼い時から飼育をしていっていたのなら尚更カマキリ飼育について飼育者さんも慣れていってますから飼育もうまく手抜き=油断するようになってきます。

しかしここが一番油断をしてはいけないところです。

何度も繰り返す脱皮と違って羽化はその後の修正の効かない最終形態への変化になります。

カブトムシや蝶の様に蛹を経て成虫になるものを完全変態と呼び

カマキリの様に小さい時と変わらぬ姿で成虫になるものを不完全変態と呼びます。

変わらぬ姿と言っても翅が生えてくるのですからカマキリにとっては劇的な変化になります。

翅が生える前のカマキリは歩くか飛び跳ねる程度の移動手段しか持ち合わせて居ませんが翅が生えるとより多くの距離を移動出来る様になります。

特にオスはメスを探す為に飛び回る手段が重要となってくるようです。この武器は繁殖活動に大きく影響しますよね。

オスメス問わず外敵から身を守る為にも翅を使って移動すると言うのは重要な役割を果たすのではないでしょうか。

よって羽化は今までの脱皮以上に慎重に見守っていかなければなりません。

なんといっても修正不可能ですから、これに失敗するとカマキリのその後の運命をかなり左右してしまいます。

羽化に備えてどういった準備が必要か?

まず羽化の準備のポイントをあげていきましょう。

羽化を行えるだけのスペースの確保

・確かな止まり木

・十分な餌

・安定した湿度の管理

さらっと上げましたがこの全ての項目がとても大事なポイントとなります。

脱皮を経て飼育をしてきているのならここの所は十分に分かるものかもしれませんがあくまで最後の大事な行事になりますから普段以上に完璧な環境を整えてあげましょう。

ではひとつひとつポイントを掘り下げていきましょう。



その1.羽化を行う為のスペースの確保!はとにかく広め!

通常脱皮をする位置からカマキリはぶら下がって脱皮をするのでぶら下がれる分だけ下の部分に空間があれば大丈夫で、とりあえず後は体を起こして通常の状態に戻れます。

しかし羽化をするにあたってはこのぶら下がって脱皮をして通常の状態の様に体を起こした後、更に翅を広げる&乾かす&畳むと言う3つの作業が残っています。

ここがあるので脱皮以上に広いスペースやカマキリ自体の羽化と言う工程を成し遂げるだけの体力の温存、翅を広げきるだけの湿度、そしてこの流れをサポートする安定した足場が必要となってきます。

スペースは無制限で広ければ広いほどに良いでしょう。羽化を行うスポットの目星を立てつつ邪魔になるものはないか再度チェックをしましょう。

羽化前のカマキリの飼育スペースを考える例として

縦幅=(羽化前のカマキリのサイズ+1cm)×2+5cm

と言うのが目安としてちょうどいいと思います。

内訳として羽化後大体1cm大きくなると考えての+1cm、そして脱皮をする状態から更に倍程度の長さ下にぶら下がるとして×2、更に余裕を持って考えての+5cmとなります。

スペースとしては成虫のカマキリのサイズを大体で見積もって8センチ程度で考えてもこの倍=14.に+余裕として5cm程度と考えて20cmは最低でも縦幅で必要となってくるかと思います。

またオオカマキリのメスの場合は10cm程になる個体も出てくるのでこうなってくると倍の大きさの20cmではギリギリか足りない可能性が出来て来ます。この場合は更に+5cmで25cm程度は縦幅だけで必要でしょう。

この計算だとかなり余裕がある作りにはなりますが出来るだけこれだけのスペース分を確保してあげた方がいいでしょう。

また横幅についてですがこちらもカマキリのサイズ+5cmは最低限必要かと思われます。普段のカマキリの行動も脱皮や羽化の際も縦の動きが多くなるので比較的横幅は重視するところではないですが、カマキリの動きが縦の動きのみと言うわけではないですからここも余裕を持って考えてあげましょう。

横幅を広くとる事での一番のメリットはカマキリが羽化をする場所を色々と選べるというところだと思います。広ければ広い程それだけカマキリが羽化をする場所が多くなるという事ですから決して無駄ではありません。

また羽化前になっても小型のカマキリの場合はそれの体長に合わせてケースも例より小さ目で済むかと思います。ただ羽化前になってからケースを準備するとなるとちょっと慌ただしいので出来るだけ早い段階で羽化時のサイズの予測をつけて羽化を安心して出来るケースを確保しておいてあげたいですね。

その2、確かな止まり木を設置するには天井壁面も有効活用

我が家では天井部分の排水溝ネットの他に壁の部分に鉢底ネットを貼りつけて2つの羽化ポイントをメインで用意しました。

通常、羽化前に限らずカマキリを飼育する際には止まり木を入れるものですが、その代わりとして壁に鉢底ネットを貼り付けました。

こうした形に至った理由としては止まり木をどんなに設置してもそこは無視で天井の排水溝ネットを幼齢の時から脱皮スポットとして活用して来ていたからです。

もう我が家ではずっと排水溝ネットをメインとした脱皮&羽化スペース確保の形へ定着しています。

最初は鉢底ネットを細長く切って止まり木としてケースに配置していたりしたのですが気にいらなかったのかここで脱皮をしたのは6匹中1匹の1回だけだったので全員止まり木は壁に保険として設置する程度に収まりました。

ここも我が家のカマキリや飼育環境やスペースの作り方の影響があるかと思うので一応止まり木は基本は必要であると思っていた方がいいと思います。

その理由としては羽化をする際に脱皮した状態から体を起こして翅を広げる工程に移るのですが、その際の体の向きを変える時にぶら下がった先に何もないとカマキリが体を起こしにくそうだと思ったからです。中には器用に天井に態勢を戻すものもいるのですが出来ればカマキリがぶら下がった先、ケースの中の位置としては下の方にカマキリがそのままの態勢で捕まれるものがあった方がいい様に思えます。(※図説製作中)

また翅を伸ばす際は出来るだけ頭が上で尻尾が下の方がカマキリが翅を伸ばす際に重力に逆らう必要がなくなるので負担が少ないと思います。これが天井で行われる場合どうしてもカマキリの姿勢が天井と並行になりがちなので伸ばした翅が体に対して並行ではなく床の方=重力のある方に傾きがちです。この事が羽化の際に翅が曲がって固まってしまう原因となりがちです。ここを防ぐには脱皮の後に素早く体を起こせる天井以外の止まり木が必要となってくると思います。

私が天井以外の保険として設置している壁の鉢底ネットがあるではないか、と思いますが、これが使えるのはカマキリがうまい位置で羽化を行った場合です。壁面からかなり離れたところで羽化時の脱皮までを行ったとしても鎌や脚が届かなければ壁面への移動は困難になります。

羽化の際の脱皮をして宙に浮いたカマキリはうまく天井に体を起こしてつかまれるものも居れば、そのまま行く場所がなくどうしようもなくぬけがらを抜けて床に降りてしまう場合もあります。この場合もう降りたわけではなく落ちたに近いと思います。脱皮や羽化をしたばかりのカマキリの体はとても柔らかいのでこの衝撃が結構なダメージとなってしまい翅に傷がついたりして羽化の工程に失敗する事もあります。

こういった事故を防ぐ為、私の場合は羽化時の脱皮を始めたカマキリに気づいたら位置によってはそーっと後から止まり木の追加をしたりしています。しかしこれはなかなか難しい行為となりますし危険も伴うので万全の準備として止まり木は後から追加ではなくしっかり用意をしておくのが良いでしょう。

つまりは何が言いたいかと言うとケースの全面どこでカマキリが羽化をしても大丈夫なようにしておかないといけないと言う事です。簡単な事ですがこれを実現するには天井、壁面、床面の全てを補強して更に空中の空間にも工夫が必要と言う事になります。

羽化をする際に邪魔にならない」かつ「翅を伸ばす工程に移る段階でつかまれる場所の確保」と言うのが必要だと言う事になります。



その3、羽化をするには多くの体力が必要!羽化前に十分な餌を与えよう!

脱皮の際もそうですがカマキリは羽化をする際には更に体力が必要になります。この体力をどうやって羽化前の体に蓄えるかと言うとそれはやはり餌と水との関係が深いものとなります。

普段からしっかり与えていたとしてもこの時ばかりはいつ羽化の工程に踏み入ってもいいように存分に餌を与えておきましょう。かといって食べ過ぎは勿論ダメですが、出来るだけ満腹状態を保てるようにしましょう。普段2日に一度を守っていたとしてもこの餌のバランスですと満腹な時とお腹すき気味な時とタイミングによってかなり腹の状態が違いますよね。満腹で準備バッチリな時にうまいこと羽化をしてくれたらいいですけどもしかしたらお腹すき気味な時に羽化をしてしまうかもしれません。そうなるとカマキリは空腹の為羽化を全う出来ず失敗したりしてしまうかもしれません。そのことを防ぐ為の満腹状態の維持になります。あくまでお腹が破裂する程ではなく適度に小さ目の餌を追加して様子をみてあげましょう。

カマキリも脱皮や羽化をするベストな時をある程度は調節しているものだとは思うので心配いらないかもしれないですけどもしもの時の為に日ごろから見守ってあげる事が大事だと思います。

こうして羽化前の齢だと判断してからも餌は与えますが慎重に行いましょう。

もう羽化の準備態勢になるとカマキリは餌を食べなくなります。

こうなるとただひたすらに餌が邪魔なだけの存在になります。

特にコオロギなどは狂暴なので羽化途中のカマキリを襲う可能性だってあります。

羽化前っぽいけどまだ食べるかな?と調整段階の時にはミルワームなど邪魔にならない床面生活をする生餌をおかずカップなどに入れて配置する程度がいいと思います。

ミルワームは基本壁を登らない生き物として知られてますがこれはツルツルな壁に限りになり止まり木など何か捕まるものがあればどんどん登って来て羽化の邪魔をする可能性もあるので必ず隔離して配置するようにしましょう。

餌が足りているかどうかわからなくならない様に餌をいつどのくらいあげたか、そしてそれをどの程度食べてお腹がどの程度膨れているかなどしっかり記録か記憶をしておきましょう。

その4、これが重要!安定した湿度管理

湿度管理は翅芽が際立って来たら脱脂綿2枚分を水に浸してこれを毎日交換します。そして霧吹きも毎日1.2回行いました。我が家は飼育ケースを日中窓辺の日当たりの良い所に設置していた為水分が蒸発しやすかったせいもありこんな感じで加湿を繰り返していましたが蒸れも大敵なのでここの所は飼育環境によって変えて下さい。

同じ日産まれのカマキリが数多くいても脱皮も羽化も微妙にタイミングがズレるものだと思います。脱皮の時もそうですが羽化の時は特に個々をしっかり見てあげましょう。

羽化は脱皮と同じ様に背中が割れて頭→鎌→前足→後ろ足、と体を伸ばしきったその後に翅を伸ばす作業に移ります。その為脱皮以上に体力を必要とするものだと思われます。餌を早めに制限してしまうとここで力が足りず翅が伸び切らなかったりするので餌は無碍に制限をしないようにしましょう。案外夜脱皮や羽化をする日の朝まで食べる個体が見てる限りは多いです。動きが悪くなってからもまだ食べたりします。安全な餌で調整しつつ様子を見てあげて下さい。

羽化は脱皮と同じように基本夜に行うものですがこれには限りません。一口に夜と言っても日が落ちたてと深夜ではかなりの時間の差がありますからね。夕方くらいでも部屋を開けていると静かな為か羽化を開始する個体もいます。羽化は本当に神秘的で感動的な瞬間です。是非見ていただきたいと思うのですがなかなかタイミングは合いません。目撃出来る様にするポイントは羽化しそうなカマキリを静かな部屋に放置しておくことです。静かで外敵が居ないタイミング=夜にカマキリ達は羽化を始めます。こうして暫くして見に行くと脱皮や羽化を目撃出来る回数が増えるものかと思われます。




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