冬場の飼育時の保温
普通に春先以降に産まれて育ったカマキリの場合はそのまま自然のままの気候に沿って行けば大概大丈夫かと思いますが、冬場の孵化や越冬個体には最低気温は15度以上は保ってあげたいです。
たまにどういう目的なのかは分かりませんがわざわざ冬場の孵化を狙い撃ちする飼育者さんもいるみたいですね。私の場合は普通にベランダの虫かごの中に卵嚢を設置して春先の孵化を待ってたのですが室外機と日光の力のせいでしょうか、時期を間違えて孵化してしまい冬場の孵化個体を飼育するに至りました。
気候が不安定な事も影響しますがまずこの時点で私は卵嚢の管理をする事を失敗してしまったわけです。反省しました。
卵嚢の扱い方については卵嚢の項目で触れています。
カマキリの飼育に慣れた方が冬場にわざわざ室内で敢えて保温して時期をずらして孵化させるのにはそれ相応の考えがあるのでしょうから自由ですが初心者さんには決しておすすめしません。
手間も電気代も餌代もかかります。かといって外に放つのはやめましょうね。
冬場の外の気温ではカマキリは死んでしまいます。
それならいっそ爬虫類などを飼育している人に餌にしてもらう方が他の生き物の糧となれるのでカマキリ的にもマシでしょう。これは本当に苦肉の策であり卵をゲットして来た時点であなたは責任を持ってカマキリの赤ちゃんを飼育すると覚悟した飼育者です。まず責任を全うするにはどうすればいいか考えましょう。以降の飼育方法を読めばきっと出来ます。自信を持ちましょう。
低温に強い生き物なら関係ないですがカマキリは約15度以上の温度を想定して孵化してきているらしいのでそれを下回りすぎると寒くて動けなくて死んでしまうと思います。ちなみにこれは餌のコオロギなんかも同じです。逆にミルワームなどは冷蔵庫で保管する事で成長をストップさせて幼虫の状態を長く保つ事が出来ます。虫によって温度への耐性はかなり差があります。
春過ぎて暖かくなってからの低温はそこまで続くものでもないし、ましてや室内での飼育なら影響はないかと思います。しかし最近の気候は変動が激しいのは確かなので、いきなり雪が降る程の寒さの日は意識をしたらいいでしょうね。様々な状況をある程度予測しながら備えておけば憂いなしです。
我が家の冬場に産まれてしまったカマキリは温度管理にはとても気を付けていました。
冬場仕様でフル保温の飼育エリア パネルヒーター使用ver
これは一例になりますが上の写真で使用しているのは
・段ボール
・新聞紙
・保温マット
・パネルヒーター
・保温ライト
になります。
段ボールの中に新聞紙を敷いて更にその上と側面を保温マットで囲みパネルヒーターをじんわり温かい程度に床に設置し、その上に飼育用のカップを並べて更に上から保温ライトを当ててます。最後にライトに当たらない程度に保温マットで蓋をしていました。保温ライトのみで温度を保ってくれたのですぐパネルヒーターはなくて大丈夫になりました。
この場合の段ボールは保温の意味が第一ですが初齢のカマキリを我が家の場合は安定感のないプラカップで飼育していたのでぶつかって倒したりしない為にも一度に全員移動させれるようにする為にもまとめて段ボールに入れておくのは便利な飼育スペースとなりました。段ボールは保温マットの代用にもなるので安価な上にかなり使えます。保温マットなしで段ボールのみでも工夫したら大丈夫だと思います。発泡スチロールのケースや板があればこちらも使えます。釣った魚を持ち運ぶのにも使われるくらいですから保冷のみならず保温にも優れています。
親カマキリが早い季節に産んだ卵が時期を間違えて早く孵化した場合は冬になるまでに何齢かまで脱皮をした状態かもしくは成虫のまま越冬をする場合も自然下ではこれらは寒さに耐えられずに死んでしまいます。しかし飼育下ではこれらも少しでも長く生きられる可能性もあるのではないでしょうか。
初齢より何齢かになっている方がカマキリは強い個体に成長しているので温度の変化にも適応出来る様になっていっている思われます。齢が若ければ若い程わずかな環境の変化に弱いのです。飼育に困難さを感じるのは恐らく誕生後の初期だと思います。飼育に慣れるという点も関係してくるところかと思いますが、冬場に孵化した場合はかなり温度変化などに慎重にならないと危険です。
初齢のカマキリ
昼間は基本日当たりの良いところに置いて50Wの保温ライトを設置しておくかエアコンを15~20度で設定してそれ以上下がらない様にして居ました。しかしこれだとまれに温度が上がりすぎて居たりもするので注意が必要です。温度が上がる分には水分をしっかり与えておけばある程度はフォロー出来るかもしれません。
夜は昼間よりももっと冷え込むし太陽の光の暖かさには頼れません。我が家の場合は昼間と夜は違う部屋に移動をしてたので結構な手間でした。
ケースを置く場所は床なのですが絨毯の敷いてある床の上に更に新聞紙やブランケットなど床からの冷気を遮断出来るものを敷いて真ん中の位置にライトを設置して囲む様にケースを置いていました。
保温ライトと飼育ケースたち
この時ライトは飼育ケースに近づけすぎない様にしましょう。火事の元ですし表面はかなりの高温になります。扱う際も素手では火傷するので軍手や手袋をするかタオルなどを当てて掴む様にしましょう。私は何度も火傷をしてます(懲りてない)
保温ライト+クリップスタンド
ライトとそれを設置する為のクリップスタンドは別売りです。
ライトはこちら↓
GEX エキゾテラ 昼夜兼用集光型 ヒートグロー 赤外線放射 スポットランプ 50W (赤) 爬虫類 保温球 ジェックス 関東当日便
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保温ライトである程度の温度を確保したら更にケースの周りを保温シートの銀マットで囲みます。ちなみに我が家で使用しているのは保温シートと見せかけて名目はレジャーシートです。ダイソーで100円でしたがこちらは銀マット素材なので名前を無視したら普通に保温シートと用途は変わりなく使えると思います。ありとあらゆるものを代用としていけるところだと思います。新聞紙や雑誌なんかも活用できるでしょう。あれば発泡スチロールの板も問題なく使えます。
この時囲みきるのではなく隙間は作っていました。ライトを避ければ飼育スペースに蓋をしようにも隙間が出来るものだと思います。暖かくかつ温度が上がりすぎない程度に調節です。本当に極寒の地にお住まいで冬場の飼育をなさるのならここも調整が必要かもしれません。温度計を見ながら大体20度で安定する様に工夫をしていました。
上の写真だと6匹分のケース+コオロギの飼育ケース+ハエの入ったカップを結構みっちり置いてます。こうしていると50Wのライトで十分保温がきくようですが家の作りによるかもしれません。やはりここも住環境などそれぞれに合った程度に調節をして飼育していきましょう。
我が家は爬虫類を元々飼育していたので幸運にも保温ライトを所持していました。
こちらは通常のペットショップなどでも取り扱っているお店があります。上のリンクでも紹介をしていますが通販などでも手に入ります。爬虫類専門のお店には確実にあると思います。値段は弱い50Wでも1000円越えるので安い買い物ではないですけどなかなかいい保温効果を発揮します。
ライトも何種類かあります。
保温ライト
左から
昼用バスキングライト50W=白い光。日中の明るさを演出しつつ保温も兼ねる白い光のライト
昼夜兼用ライト50w=赤い光。夜気兼ねなく使える生き物が認知しにくい赤色の保温ライト
昼夜兼用ライト100w=同上
です。我が家では昼夜兼用ライトの50wと100wを使い分けています。
保温目的のジャンルのみでもライトの種類はいくつか見当たるものかと思われます。大きく分けると昼用or昼夜兼用と言う2通りになるかと思います。細かく温度を調節したり一定の温度を保ったり出来る優秀なライトもあります。予算に余裕があったらお試し下さい。
我が家は白い光の昼用バスキングライトもありましたがカマキリには赤い光の昼夜兼用ライトを選びました。赤いライトは昼も夜も生き物の目の邪魔にならないので交換の必要はありません。我が家の爬虫類も紫外線ライトで白いライトを別付けしているので保温に関しては赤いライトのみを活用するようになったので上の写真もストックが白いライトは一つしかありません。ここはこだわり方次第でどこまでもこだわれるところなので興味がある方はお調べ下さい。
もし保温ライトだけでも昼夜のメリハリをつけたいのなら昼間は白、夜間は赤のライトと交換をするのがいいでしょう。しかしこれは爬虫類に対しての効果として聞いた使い分け方なのでカマキリにこの方法がマッチするかは分かりません。
日光を取り入れるのが難しいお部屋の作りだと紫外線が不足してしまいます。こういった場合は紫外線ライトと言うものも存在します。
こちらは保温ライトの様に熱を持ちません。私が爬虫類用に使用しているのは結構高価なものです。紫外線ライトは爬虫類用として使用を推奨されるものですが実際ライトから出る紫外線がどれだけ効果をもたらしているのかは曖昧なものでさほど効果を期待して頼り切っていい品物でもないと私は思っています。その為我が家の爬虫類も日光浴はベランダに出したりして自然光に頼っています。紫外線ライトについてはしいて言えば「ないよりはいい」とこの手の専門店の店長さんは言っていました。ちなみに消耗品なので3か月~半年に一度は交換をしないと僅かな紫外線効果もどんどん失われていってしまいます。そうなると1年でここだけで10000円越えますね。トータルで考えてやはり自然の太陽光に勝るものはないと言うのを把握しておいて下さい。
日光浴をさせる暇がないなんて人にはとりあえずの紫外線ライトはカマキリを飼育する上でも使えるかもしれません。私は試した事もないので自己責任でお願いしたいですがそれだけカマキリを見れないのなら飼うべきかどうかをまず考えなおした方が良さそうです。負担にならずに自然に生きるものらしく暮らせる形をちゃんと探してあげてほしいです。
我が家の飼育環境で保温を意識して育てたのは冬場孵化した個体で計6匹です。
きっともっとたくさんの数がいたらまた違う保温のしかたになると思います。我が家では50Wで足りましたが多くのカマキリの飼育スペースを温めるには100Wじゃないと温度がいきわたらないかもしれません。100よりもっと大きなwもあります。しかし数が多い場合は保温ライトで下手に温度のムラをケースの設置位置によって出してしまうよりも暖房のついてる部屋で思い切り部屋ごと暖めてしまった方が安心かもしれないです。我が家は夜間カマキリのいる部屋にはエアコンが無く付けれなかったのでこういった方法はとれませんでしたが、昼間はエアコンのある部屋で日光浴をさせながら暖房をつけて過ごさせている時も多々ありました。
うまいやり方があるのかもしれませんがホットカーペットやパネルヒーターは蒸れる感じがするのであまりおすすめしません。しかし蒸れると言ってもカマキリはどちらかと言うと高い位置で暮らすのであまり床の温度は直接は食らわないかもしれません。
初齢のカマキリに与える為の生餌の初齢のコオロギに温度を調節出来ないパネルヒーターを使用しました温度がきつかったらしくほぼ全滅をさせてしまった事があります。コオロギは床に近い部分で暮らしていて高温状態からの逃げ場がなかったのでしょう。かわいそうな事をしてしまい反省しました。この経験からいくと少なくとも床暮らしをする弱い生き物には控えた方が良さそうです。この経験にビビッてカマキリにはパネルヒーターは使用しなくなりました。
温度を調節をするには人間と一緒にエアコンを使用するのも電気代がかかるものの便利な方法ではあると思います。しかし季節問わずエアコン直撃はよくないので直撃は避ける位置にケースを配置をするようにしましょう。
どうしてもエアコン近くから場所を移せない!なんて理由はあんまりないかとは思いますが、ただ単に面倒くさいとかその場しのぎならケースの上に保温をしたいのかそれとも空気を逃がしたいのかで用途に合った布や保温シートを被せておくといいかと思います。いっそ新聞なんかでも大丈夫です。しかしこの時蓋が上についているケースの場合は空気が入れかえれないのでちょっと心配ですね。カマキリがその程度で窒息する事もなかなかないですけど、長時間の場合はやはり安全な場所に移動させておきましょう。大事な大事なカマキリですから。
観察をするに当たってケースを置く場所は目線の高さの方が見やすいですしケース内の手入れをする場合も多少高さがある所の方が扱いやすいかと思います。けれどもしも倒したらカマキリも致命傷を負う可能性があります。心配性なのでそんなこんなで我が家では現在は床の上での飼育に収まりました。
蹴らない様に気を付けないとって言うのは出てきますが安定感だけは確かです。棚の上などに配置をして飼育をしていた事もありますがかなり奥行のある場所でした。
飼育スペース棚の上バージョン
奥行がない、もしくは飼育ケースがせり出てしまうなんて状態にしかならない場合はカマキリに限らずどんな生き物を飼う上でも落下の可能性があり良くない状態だと思います。生き物を飼育すると決めたのならしっかりそのスペースを確保してこそ飼う資格があるものと思います。
カマキリと日光浴
保温と共に日光浴について触れてきましたが、ケースを配置する場所は直射日光の当たらない日当たりの良い場所と言われています。自然界のカマキリの生息する環境を考えたら予測がつきますよね。
生き物たるもの太陽の光あってこそ丈夫な体を作れるというものです。カマキリも例外ではありません。
人間も日光を浴びないと幸せ成分のセロトニンが出せなくて気分が上がらなくなったりするそうです。カマキリも日光浴を心がけて育てているとそれまでよりも元気に見えます。
直射日光は温度の上がりすぎなどが心配なので良くないとも思えますが、過剰に避ける必要性は飼育しているケースの状態にもよると思います。ケースには大概蓋がついているんだからこれがまず日陰を作ってくれます。角度などを考えて日陰が出来る程度ならすすんで日光浴を意識してあげてもいいのではないでしょうか。
ただし季節にもよります。日照時間の少ない冬場に孵化してしまったカマキリにとって日光は貴重な自然の暖かさであり紫外線です。私は冬場に孵化した場合は毎朝ケースを移動させて日当たりの良い窓辺に設置してました。
しかし冬場でも日当たりの良い窓辺は昼間になれば温度計を置いていると40度になったり振り切れる程の時もありました。その都度保温器具をストップさせたりして調節したりケースの位置をずらしたり、試行錯誤の繰り返しでした。
これがもし真夏だったなら恐ろしい温度になってしまいます。カマキリも水分を奪われてカラカラに干上がってしまいそうです。なので温度管理などをその都度で出来る、あくまで飼育者がしっかり見てあげられる間の数時間だけを日光浴に当てると言うのがいいのではないでしょうか。丸一日お留守の時はちょっと危険ですね。
ちなみに私の家の場合窓の外は結構な幅のあるベランダを挟んで外って形になるので直射日光はあまり入って来ない作りになっています。日当たりを意識して思いっきり直射日光が直撃しやすい作りの窓辺にケースの定位置を決定するのも考え物です。なぜなら窓辺は温度変化が一番激しいところです。出窓なんかだと一見良さそうですが広範囲に日光が当たりカマキリにとっては逃げ場なしと言う風にも取れます。
自然界ではカマキリは自由に動けますがケースの中ではそれ以上は動けません。温度が上がりすぎても下がりすぎても逃げ場がないのです。定位置に置かれたケースでも季節だけではなく昼間と夜では温度がかなり違います。あくまで自分で管理を出来る形でカマキリが快適に過ごせる様に意識してあげましょう。
そして日光浴をさせる場合は必ず合間か事前に水分補給をしてあげましょう。
事前に脱脂綿を置いてもこれも干上がってしまうかもしれません。追加で水分補給をする時は霧吹きがお手軽です。
あくまでカマキリ本体には直接かけないように、ケースの側面の壁の一面のみに噴射します。カマキリがしっかり水分補給出来てるかどうかも霧吹きであげると飲む姿がケース越しにしっかり確認出来るので安心ですよ。飲む姿も愛らしいです。こうして水分補給をしていればカマキリも日光浴をまた思う存分楽しめそうですよね。
ケースの大きさに余裕がある場合はケースの上から半分新聞紙なんかをかけて強制的に日陰、あとのスペースは日向とスペースで分けてみるのもいいかもしれません。これだとカマキリが好きな方を選べるかと思います。
あくまで飼育数が少ない場合でないといちいち日光浴をする為にケースの移動も大変ですけどやってみる価値はあるかと思います。6匹のみの飼育でも結構大変ですけどその度にカマキリの無事を確認しつつ観察を楽しめます。見れば見るほど新たな発見があります。決して無駄な作業ではないと思います。
観察を癖にしてしまえばお世話なんて楽々です。それに日当たりのいいところだと写真も綺麗にとれます。日に透ける様なカマキリの質感や色はため息つくほど美しいものです。ただし逆光で写真を撮ると幼齢の内は小さいせいもあって全然魅力を映しきれなくなるのでお気を付け下さい。
少しの手間でカマキリを丈夫に育てられるのならいいのではないでしょうか。
日照不足のカマキリは体が弱く色も薄く育ってしまうと言います。我が家の冬生まれたカマキリもほぼ毎日日光浴をさせるようにしたらとてもきれいに発色しています。褐色個体なんて褐色どころか黒いです。なんだかそれだけでちょっと逞しく見えるものですよ。
噂程度の話ですがカマキリの体の色が緑になるか茶色になるかについても日光浴が関係しているなんて話もあります。
色の件についてはカマキリの色の項目でまとめています。
※2019年度追加分。忘れないで!温度管理と日光浴3制作中☆