高学年の小学生にオオカマキリを預けてみた

突然のカマキリちょうだい!

突然…でもなかったのですが、卵嚢を保管しているのを子供が学校で自慢をした結果、子供の友達の男の子のAくんがうちで生まれたカマキリの赤ちゃんを1匹飼育してみたいと言い出しました。

最初うちの子はカマキリはあげれないと断っていたのですが元々生き物好き仲間だったAくんの熱意に負けて改めて私にお願いをしてきました。

まぁ2018年度はなんといっても1500匹も生まれて500匹くらい飼育してたりしてたのでリリースをする事を考えたら子供に1匹くらいは預けてみてもいいかなと思いOKしました。子供に生き物飼育をさせるのは生き物にとってはいい迷惑の可能性もありますけど子供にとっては大事育てる事が出来ればいい経験ですからね。

しかしこれには条件付きでした。それは1~3齢はカマキリが小さすぎて餌の確保や各世話方面について子供には困難だと思ったので4齢になり安定をするまで待つ様にと。私からの伝言は全てが我が子づてとなってましたがAくんはすぐ納得をした様です。

またカマキリは繁殖をして遺伝子を残す為に生きているから死ぬまで1匹で飼育を続けるのではなく、成虫になったら必ず外に逃がす為に返して貰う事。これも約束をして貰いました。

私の飼育方針は「最後は全てリリース」なので、一応それに沿って貰いました。

実際子供は飽きっぽいですし羽化したら逃がすのはカマキリ的にもちょうどいいタイミングだと思います。そのまま飼育を続けていてもいずれ死んでしまいますしそれは悲しいですからね。飽きっぽいけどいざ逃がすとなると嫌がるのが子供の特性でもありますけどw名残惜しい気持ちは大人と同じでしょうかw

4齢からの飼育

4齢から、としましたがこの話最初は3齢からと言う事で伝えていました。しかし3齢は思った以上に小さく不安定で小学生の扱い方だと心配になってしまい結果4齢からになりました。

このAくんもうちの子も昆虫の扱いには慣れているのでそこはいいとして他の子の事を考えると3齢はちょっと…となってしまいました。もしケースから出しても行方不明にならないサイズ=4齢、と言う感じでした。

いよいよ4齢になり学校へとカマキリを1匹連れて行きました。4齢に脱皮をして1日経過した個体を選びました。うちの子はやっぱり緑色が好きらしく緑色のを選んでいきましたが4齢頃は緑色の個体の方がひょっとして多いんじゃないかってくらいですからね。色はきっと変わるよって話はしてました。

そして1日目、帰って来るなり子供が「聞いてよ!」と怒った様子でした。話を聞いてみると

・お腹がパンクすると言ってもみんなで餌を次から次へと持ってきて食べさせようとする。

・先生のアドバイスで自然界をケース内に表現した方がいいんじゃないかと土を入れたり草を入れたり色々と入れたりw

・うちの子が正しい飼育方法を教えても全然言う事聞かない

こんな感じで2日くらいで一度すぐに連れて帰って来ましたw

やはり餌を食べるところを見たいらしく、何度も何度も餌をあげてしまう結果に。まぁ子供だから仕方ないっちゃないですが。カマキリ的には命取りな話。

例のカマキリの新たな飼い主となったAくんはうちの子の言う事もある程度聞くそうなのですが小学生男子あるある。周りの男子が猿山の様に群がりみんなで好き放題。大人気なカマキリwうちの子が口を出せば「もうお前のカマキリじゃないだろ!口出すなよ!」ってな具合だったらしい。結果我が子は「カマキリは物じゃないんだから!」と怒って連れて帰って来ましたw

けど次の日にAくんが「ちゃんと言う事聞くから…カマキリを返して欲しい。」って言って来たらしく、親子でどうしようか考えました。Aくんの気持ちも大事にしたい、けど世話のルール(餌の量)などを守らないでカマキリを死なせてしまうのもいただけない…って事で私が飼育の説明書を書きました。

実際の説明書です。手書きで読みにくいですがなんとか伝わった様で。

餌の量やその他諸々解決をしました。

我が家では餌を2日に1度厳守をせず毎日ちびちび足したりしてますが、子供が餌やりをするには1日開く程度の余裕があった方がパンクの心配も減るので厳守にしました。

ちなみにこの説明書と一緒に霧吹きを持って行かせました。

霧吹きは朝夕で1日2回必ずするようにと

脱皮への備えも怠らずにするように。

結果カマキリは順調に脱皮を果たして大きくなっていきました。

餌についても2日に一度は必ずヨコバイや蝶をAくんが取って来てあげてたそうです。とても色々な餌を食べさせてとてもかわいがってくれました。かわいがってくれてるのが我が子づてでも伝わってきたので嬉しいですね。雨の日は虫捕りに行けないので私が子供にお持たせしたイエコやミルワームなどを利用しました。

週末土日は学校が休みですが心配なのでうちの子が連れて帰って来て月曜になったら男の子に返すと言う流れを繰り返していました。これは私がお願いをしました。やはり定期的にチェックしておきたいですからねw

大きくなるにつれてみるみる褐色になりどうやらオスだから、サイズもあまり大きくならないかも。子供的には緑色でデカいのがいいんだろ?大丈夫か?と思ってうちの子に聞いてみたところ「男の子はとにかくこのカマキリをかわいがっているので他の子じゃダメなんだよ」って言ってました。なんだか感動しました。すっかり男の子はこのカマキリのお母さんみたいな気持ちになっていたんですね!唯一無二のかますけです!名前もちゃんとつけてくれてましたw

最終的に…

いつも通り週末連れて帰って来られた7齢になったカマキリ、いよいよ羽化をしそうな雰囲気に翅芽が目立ってきていました。羽化が近い事を子供にしっかり伝えて霧吹きを欠かさない様に言いました。

そして羽化をする前の日は本当に翅芽がトキントキンになってバキバキだったみたいでみんな大騒ぎしてた様です。微笑ましいですねw

しっかり霧吹きをしてみんな帰宅。そして次の日見事に羽化をしました。

しかしこちらが羽化不全でした

2018/07/15 かますけ

重度ではないけど地味に羽化不全ですね。やはり子供の世話では難しかったか?

ちょっと子供的には…と言うかカマキリ的には気の毒な状態かもしれないですが、まぁ最初の頃を思えばよくぞここまでと言う感じで上出来ではないでしょうか。歩行と餌の捕獲が出来るのでリリースはかろうじて出来る状態でしょうがなかなか険しい道のりへと導いてしまった感はぬぐい切れません。

カマキリの為にもAくんを始めとする子供の為にもちゃんと成功させてあげたかったですねぇ。責任者の私が不甲斐ないばっかりに…。

難があるのは左後足と翅がやや閉じ切ってないところでしょうか。あと触覚が片方ちょっとよぼよぼしてます。

あと脱皮の前日に「触覚が切れた」と聞きました。一体どうしてそんな事になったのか分からないですがそういった部分も多少影響をしたのかもしれません。後足が抜けきれなかったのが羽化まで響いた原因だろうとは思うので単純に加湿不足などもあるかと思うんですけどね。

翅を広げたところ。かろうじて飛べるか?ちょっと心配である。なんだかくるくるしてますね。この状態去年のカマでも見覚えがあります。止まり木なしの天井での羽化をしたので重力が変な風にかかってしまったのかもしれません。

閉じたところ。やっぱりくるんってなってますね。一応閉じれてる感はあるんですけど閉じ切れてはいません。

けど威嚇も一丁前にします。元気ではあるようでした。

子供だけの飼育まとめ

子供だけの飼育と見せかけてちょこちょこ私の影がありましたがw頑張ってくれました。

羽化不全状態になってしまったのはちょっと残念なところではありますけどちゃんと立派に成虫まで育て上げただけでも子供たちにとってとてもいい経験になったと思うので良かったと思います。

私が小学生の頃も学校でみんなで色々な昆虫や小動物を飼育していましたが次から次へと取って来ては世話に不足があって死なせまくってた気がします。昔はネットも普及が十分していなかったので「調べる」と言う作業がなかなか難しかったせいもあったかと思いますがひどい事をしてしまったなぁと大人になって反省をしました。

しかしこういった子供の頃の飼育の反省点は今の飼育にも影響をしていると思います。昔は死なせてしまったからこそ、今度こそちゃんと飼育をしてなんとしても生かそう、そんな気持ちが生まれたのだと思います。

そもそも外の生き物を連れて帰って来て飼育をすると言うのは倫理的な考え方をしたらどういった位置になるのか分かりません。人間のエゴありきなところはどうしてもあるでしょう。しかしそれを通じて学ぶことが子供だからこそあると思います。

生物を飼育する事を通して命の大切さを学べると言うのは素晴らしいと思います。時には犠牲も産んでしまうかもしれません。そこは大人の私が飼育をしていても同じ事です。

子供たちが小さな生き物に目を向け関わっていける環境を大人がサポートしていってあげる事はいつの時代になっても大切な財産になると思います。

これからも積極的に子供を交えて様々な生き物を飼育していけたらと思います!