飼育をするにあたってハラビロカマキリは手強い?
我が家で飼育を経験したカマキリは
オオカマキリ
チョウセンカマキリ
ハラビロカマキリ
の3種類のみになりますが、カマキリの種類は他にもたくさんいるようです。その中で私が飼育をしている3種類以外で見た事があるカマキリは
コカマキリ 2016.9.30 一時保護
ヒナカマキリ 2016.8.19 茨城にて
賽銭箱で発見
になります。この他にもウスバカマキリなどは割とメジャーな個体でお住まいの地域によっては多く見られる様です。
どのカマキリもそれぞれ個性があって魅力的です。種類はどうあれ飼育をしてみればうちの子が一番かわいい!となると思われます。しかし飼育の方法が多少なりとも種類によって違うっちゃ違うように感じました。種類は違えどカマキリはカマキリなので大幅な違いがあるわけでもないのですが、私が飼育をして来た3種類の中で言えばひときわ小さな初齢~3齢程度のハラビロカマキリはとても飼育がしにくいと感じました。
最速の個体で5月に孵化をして8月に入り羽化をしましたが成虫とは思えない3cm程度の体には驚愕しました。この小さい個体はオスと思われますが、まだ小さいので羽化個体ではないと思って育てていたので青天の霹靂とはこの事かと言う感じでした。
孵化したての1齢幼虫~3齢になる頃まではその体の小ささ故にトリニドショウジョウバエさえ餌としてなかなか受け入れてくれないのでハラビロの為に3齢になる頃まではキイロショウジョウバエをキープしないとなりません。それに私が感じているだけではないはずですがオオカマキリやチョウセンカマキリと比べてハラビロカマキリはとても脚が早いです。
以前成虫のハラビロを捕まえて暫く飼育をしていた時にはでっぷりした体と共にオオカマキリよりもゆったりとした生態に感じたのですがあれはなんだったんでしょう。あれ?私ゴキブリ飼ってたかな?みたいなカサカサカサカサーッと言う様な移動の仕方をします。
以前飼育をしていたおとなしいハラビロカマキリの原監督
2016.9.11 横浜の駅のホームに居たところを保護
おじさんが踏みそうになったので大きな声を出してしまいました(笑)
暫く観察をする為に飼育しました。餌も順調に食べて元気そうだったのですが
気が付いたら脚が1本欠損。一体何が?
とりあえず飼育をしててもあれなんで自然に返しました。
我が家では幼齢の4齢程度までのカマキリはどの種類も400ml程度のキャパのプラスチックのコップで飼育をしていますがハラビロに餌を与える時などケースを動かそうとするとコップの円の中をぐるぐる回って逃げ回ります。目にもとまらぬ速さです。この素早さ故に掃除中に外に出てしまう事もしばしばありとても慎重に扱わないとなりません。
ハラビロカマキリ4齢
まぁ私はオオカマキリしか飼育をした事がなかったのでオオカマキリに慣れていてハラビロの特徴にやたら敏感になっているだけなのかもしれないですが、チョウセンカマキリはオオカマと見た目も動向もほぼ同じ感じなのでハラビロのノリは最初は慣れませんでした。
それから他のカマキリよりも太い体のせいでしょうか?オオカマキリやチョウセンカマキリと同じ環境で飼育をしていたのに孵化の際には多くの孵化不全の個体、その後も3齢になるくらいまで脱皮不全が多く出てしまいました。
このぶら下がってる子達がこのまま孵化不全になってしまいました
かわいい赤ちゃんカマキリの誕生に喜んだ後地獄に落とされました
飼育者としてとても苦い思い出です。
私のお世話に至らぬところがあったのかもしれません。他のチョウセンカマキリやオオカマキリはこのような事故は決して多くなかったのできっとハラビロ特有の太い体故により多くの湿度を必要とするのではないかと言う結論に今のところあります。あくまで私の分析なのでこれが本当に正しい分析かは分からないですが体つきの違いがあるのだから考えてみればそこは当然と言えば当然と言うものではないでしょうか。
卵嚢が孵化時期になってきたら日に当て、ついでに卵嚢のついた枝やケースなどに霧吹きを多少するものですがこの霧吹きが足りなかったのかもしれません。他のカマキリも同じと言えば同じですが孵化=第一回目の脱皮を成功させる為には孵化の時期をある程度予測して適度な加湿をしっかり意識していきましょう。
独特のかわいさがあるハラビロ4齢
以上の事を踏まえて飼育向きであるのは生まれた時からある程度のサイズ感のあるオオカマキリが一番だと私は感じました。
勿論オオカマキリが簡単とも言い難いですが初心者でもまだマシと言う感じがあります。
ハラビロカマキリは決して飼育をする上でオススメ出来ません。少なくとも私は孵化の段階で多くの失敗を出してしまったので反省の意味も込めて二度と飼育はしないと思います。リベンジしたい気持ちもあるのですが怖いと言う気持ちが勝ってしまいます。
また6齢の時点でハラビロカマキリが毎日1,2匹ずつ合計するとかなりの数が死んでいってしまいました。
こちらの原因も良くわからないままなのですがチョウセンカマキリとオオカマキリは5齢程度で大きな飼育ケースに引っ越しをしたのですがハラビロは小さいからと思ってプラカップのまま6齢になっても飼育を続けていました。ひょっとして小さい飼育カップの中で蒸れが発生してそれで死んでしまっているのではないかと急いで引っ越しをしたのですがその後暫くして数匹亡くなってしまいました。この時ハラビロはとてもきれいな姿で死んでいるのが特徴です。今にも動き出しそうなくらいにきれいな体をしているのに脚を閉じて完全に死んでしまっていました。
原因不明な不幸な事態が連発をしてしまい私もかなりメンタルがやられました。せっかく飼育をさせて貰う為に自然からお預かりしているのに自然に返す前に死なせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
とりあえずその後は安定をして飼育をしていってますが6齢などのある程度の齢になり、脱皮の失敗やパーツの不具合(ハラオレなど)もないのに死んでしまうと言うのはハラビロのみに見られた現象でした。私はハラビロを1シーズン飼育をしましたが飼育方法はよくわからない、と言う印象で自信がありません。
しかし私と違ってハラビロの方がオオカマなんかよりも飼育に慣れている人はまた感じ方が違うかもしれません。一度は試して相性を確認するのも大事な流れかもしれませんね。
チョウセンカマキリは大体7齢で羽化する?!
私の中ではカマキリのスタンダードはオオカマキリなのですが世の中的にどうなのでしょう。
チョウセンカマキリが元々スタンダードな「カマキリ」と呼ばれる存在であったらしいので本当はチョウセンカマキリこそがスタンダードなのかもしれないですけどね。今でこそチョウセンカマキリと呼ばれていますが昔はただただ「カマキリ」と言う呼び名であったと言います。とりあえず他のカマキリと分別する為に名前がはっきり違うのは便利ではありますね。
私はオオカマキリに慣れてしまっていたのでチョウセンカマキリの飼育も驚く発見がたくさんありました。
基本はオオカマキリと見た目としても大差がないのですが大きな違いは羽化のタイミングです。
見事なまでにみんな揃って6齢から7齢になる時に羽化をしだしました。
オオカマキリを飼育していると8齢になるタイミングで羽化が多かったのでその脱皮の回数の少なさの違いは勿論ですがそれよりなにより驚いたのは成虫の小ささです。6cm程度のサイズしかないのに立派に成虫になったのです。
チョウセンカマキリを身近に感じている人にとっては当たり前のサイズ感なのかもしれないですがオオカマキリを基準としている私としては「こんなに小さいのに成虫としてやっていけるの?」と思ってしまいました。
ちなみに我が家で6齢→7齢になるタイミングで羽化をしたのはオスのチョウセンカマキリだと思われます。
全ての卵管をチェックしてませんがあまりに小さく細かったので。卵管まで確認をしないでも腹部のふくらみのなさでオスと判断をしました。実際はどうだったのでしょうね。チョウセンカマキリもメスの場合はオオカマキリのメスに匹敵をする程のサイズに育つ個体も存在するようですからこれまたかなり個体差があるようですし実際はメスでも小型のものもいるのかもしれません。
たくさんのチョウセンカマキリが羽化をしたタイミングで更に脱皮をして大きくなった個体もいました。
こちらは恐らくメスカマキリなのかなと思います。脱皮の回数がメスの方が多くなると言うのは育てている限りあるあるなようですからね。メスカマキリの方が大きくなるので自然に考えれば当たり前の事なのかもしれません。
しかしカマキリの個体差がかなりある事から考えて大きめなオスと小さめなメスが出会ったら?と考えるとうまく交尾を出来るのか心配になってしまいそうですね。それにしてもカマキリはどうやってオスがメスを発見するんでしょうか。メスにとっては捕食対象でしかないオスでもオスからしてみたら立派に交尾の相手として見分けるわけですからね。どの昆虫でも言える事かもしれませんがよくオスメス見分けられるなって感じです。匂いのようなものでも発しているのでしょうか。
推しているけど…オオカマあるあるの注意点
お分かりの通りオオカマ推しな私ですがひとつ難点があります。
私の飼育の仕方が何か問題がある故の特性なのかもしれないですが通称ハラオレの個体が出やすいのはオオカマキリでした。その次がチョウセンカマキリ、全くと言う程でないのはハラビロです。
ハラオレとはお腹の付け根の部分からパッキリと言っていいくらいに折れ曲がった体になってしまう事をそう呼んでいます。折れた先はプランプランして今にも千切れそうでヒヤヒヤします。
ハラビロに至っては最初からお尻をあげているスタイルなのでハラオレへの耐性が強いのかもしれません。
このハラオレが起こる原因と言うのはよく私は分かっていないのですが見るからに体つきからして少しの事で折れてしまいそうなくらいに腹部が細く長いのがオオカマキリやチョウセンカマキリの特徴ではないでしょうか。きっと負担がかかりやすく弱い部分なのでしょう。
昨日までなんともなかったカマキリがふと見たらハラオレ個体になっているとかなり焦ります。
初めて見た時は本当泣きそうでした。ネットで調べてもハラオレの攻略法も出て来ないしハラオレになったその後が記されていない記事ばかりでした。もうこうなったら無理だと言う記述さえありました。こうなると「やっぱりハラオレ個体はそのまま死んでしまうの?」と不安になると思います。
けど諦めないで!!
少なくとも私が試したところケアをしてあげればハラオレが原因で死ぬ事はないかと思います。
ハラオレ個体が生まれやすいのは脱皮のその後です。そして次の脱皮で完全に持ち直す個体が多いです。
次の脱皮に備えてする事は
1、常に満腹に近い状態にする
お腹が折れる原因として私の推測ですが空腹が考えられます。餌のサイズや量を見直すきっかけにもなります。カマキリの体内がどうなっているのかは知らないですが、空腹と言っても絶食続きなわけではなくても多少餌が足りていないと消化が進んだ食べ物がお尻の方に移動して上の部分が空いてくると思われるのでお尻が重く上の空の部分の負担が大きくなるような気がします。この為にも上の部分を埋める為=強くする為に餌をプラスしていきます。ちなみに餌をゲットするのは見届けてその際にカマキリの頭が上になるように=腹が折れた状態にならないように餌を食べさせましょう。折れ曲がった状態のまま餌を食べても途中で止まってしまいそうなので逆に危険に思えます。
ハラオレ個体でも力を入れた瞬間などは腹がピンと戻る個体もいます。しかしその時だけです。腹にハリが恐らく必要なのです。餌はその点手っ取り早く腹のハリを取り戻せます。
また、餌を多めに与える事で脱皮の周期も早くなります。ハラオレの不具合が出た個体は脱皮不全を起こした個体と同じ様に早めに脱皮をさせるように餌多めを意識しましょう。ちょっとのハンディは次の脱皮で修正可能です。しかしあげすぎは厳重注意ですよ。
カマキリの餌の周期は2日に一度コオロギ1匹と言われていますがハラオレを未然に防ぐ為には1日のラグは開けない方がいいかもしれません。日々の差が出てしまうと負担になりやすいと思います。自然下で暮らすカマキリはそもそもそんな周期で餌を食べているわけではないと思いますし、出来るのであれば毎日ちょっとずつ、と言う自然下での状態に寄せてあげるのがハラオレの原因と考えられる体内の餌の重さを半減してあげられると思います。
2、出来るだけ上にぶら下がった態勢にしないように心がける
餌を与える際のスタイルもそうですがお腹が折れたままですと負担が一部にかかりすぎなのは見て取れますし恐らく良くありません。飼育ケースの天井を好むカマキリですが飼育ケースの天井がツルツル素材で横面がネットの様につかまりやすい仕様にすると横面を定位置に選ぶと思います。カマキリ本体のみを思った向きに固定するのは無理があるので腹が折れない角度になるようにケースを回転させましょう。我が家の場合通常は排水溝ネットで出来た蓋がケース上部になりますがハラオレ個体が出た場合は排水溝ネットが横面になるように位置させています。これだけでもかなり違います。しかしそれでもまた折れた状態で逆さまに捕まったりする気が抜けないハラオレさんなのでちょくちょく様子を見て角度を変えたり工夫してあげましょう。それでもどうしてもハラオレの態勢にばかりなる場合はケースから出して腹の折れない角度で散歩をしてあげるのも良いと思います。とにかく腹が折れない状態で長くいれるようにしましょう。
3、日光浴
カマキリの体の強さは日光との関係が深いと勝手に思っています。人間も日光にあまり当たらないと体の中もそうですが皮膚面がなんとなく弱く感じられますね。これと同じでカマキリの皮膚と言える部分も日光を浴びていないとなんだか色も薄くひ弱な感じになってしまいます。あくまで私が感じるだけなので気休めにしかならないかもしれないですが気休めでいいから試してみましょう。日光は直射日光ではなく気持ち良い感じに日当たりの良い程度で。
私が見る限りハラオレになりやすい個体は4-7齢程度の頃がでした。小さい頃は体の比率に比べて腹部のサイズもそこまで負担になるレベルではないですし大きくなれば体もしっかりしてくるので折れる様な弱さにはならない様な気がします。
我が家のハラオレは無事その後の脱皮で持ち直し成虫になった個体もたくさんいます。
本格的な脱皮不全となるとどうしようもないですがハラオレくらいで諦めてはいけません。
ここが正念場ですよ。