卵嚢からの飼育4【卵嚢の保管方法と孵化後】

カマキリの卵嚢の保管の仕方・孵化に備えて

卵を産卵された状態から持ち帰る時は産み付けられた必ず枝ごと持ち帰りましょう

卵のみでは孵化の際にぶら下がって出てくるカマキリにとって安定感も何もありません。孵化不全を防ぐ為にも取ってきた時の状態をケース内で再現して保管をする事が大切です。

それに枝があった方がケース内で固定しやすいと思います。出来るだけ大きめに枝を残しておくのが良いでしょう。卵嚢のついている枝1本だけではなく周りに広がる小さな枝も一緒に。カマキリの赤ちゃんは誕生をした後散り散りになる習性があるので枝分かれをしているとうまい事それを誘導してあげられると思います。赤ちゃんの渋滞が出来ない様に工夫をしてあげましょう。

枝に産み付けられた卵嚢と孵化する幼虫

こんな感じ

【卵嚢の保管をするポイント】

・孵化した際にキャパオーバーにならない様にある程度の広さのあるケースを用意する

・ケースをに設置

・幼齢のカマキリが逃げる様な隙間がない様にしておく

・卵嚢のついた枝は角度や高さを考えて固定しておく(ぶら下がりやすい様に)

・固定をする際テープを使う場合は隙間を埋める(カマキリがくっついてしまわない様に。出来るだけグルーガンなど乾くとくっつかない素材で固定した方が無難です)

・卵嚢の上下を間違えない(基本えぐれて平になっている方が下です。ここを間違えない為にも枝を大きめに持って帰ってくると安心)

・孵化後飼育を考えているのなら1匹ずつ取り分けられる様に工夫をしておく。

・適度に湿度補給をする(詳しくは卵嚢からの飼育2参照)

不備がない様にしっかり孵化の準備を備えてあげましょう。

あくまで卵嚢の扱いはソフトタッチです。

握りつぶしてはなりません。かなり丈夫なつくりではありますが人間の力と知恵を使えば簡単に壊れてしまうものです。持ち帰りの際には卵嚢のついた枝を持ち手に。卵嚢を直接持つのは危険なのでやめましょう。

カマキリの卵嚢を持ち帰ったなら春までは絶対室内で保管してはなりません。室内だと暖かいので変な時期に孵化してしまう可能性があります。冬場の飼育はとても大変で手がかかりますしカマキリにも大きな負担です。可能な限り外での保管をオススメします。

この時あまり日当たりのいいところにケースを設置しておくとひょっとしたら勘違いで早めの孵化をしてしまうかもしれません。せめて気温が安定する季節、地域にもよりますが4月頃になるまでは孵化してこない様に温度変化に気を付けましょう。

どうしてもと言う場合は室内で出来るだけ日の当たらない涼しいところで保管をしましょう。私の場合は玄関での保管を2018年度は行っています。

【※2018年度飼育→我が家のマンションの外壁の工事が2月頃から始まってしまってベランダに卵嚢を置いておけなくなったのでこの年はやむなく2月から室内での保管をしました。こうして室内で保管をする場合出来るだけ涼しいところに置きましょう。温度計などを設置しておくと安心です。

玄関にまずは設置をして4月になり自室へ移動しました。部屋の暖房などは付けずに過ごしましたが爬虫類が居る為保温ライトの影響が心配でしたがなんとか4月の半ばまで孵化せず持ちました!自然界での孵化も同時期だった様に思えますがほんの1,2週程度の早い孵化であれば自然界に逃がした時にカマキリ的には生存競争の上で有利になるのでむしろ良い話のようです。※逃がす事は基本NGですけど孵化したてに限りグレーゾーンと言う感じ?】

飼育ケース内での卵嚢のレイアウトのコツは高さをつける事

並んだ3つの卵嚢

卵嚢の真ん中のくぼんで見える部分に小さな穴がありカマキリの赤ちゃんたちはそこから出てきます。

とにかく出来るだけ自然に近い形での孵化を意識しましょう。
カマキリの赤ちゃんはその小さな穴から這い出て来て糸の様なものでぶら下がりながら第一回目の脱皮を孵化してすぐにします。その為にも高さはある程度必要です。通常の横型のケースを使用するのなら縦置きをしましょう。

たらーんと糸を垂らして出て来たカマキリの赤ちゃんの上下の間隔がどこまで伸びれるものなのか分かりませんが、私が観察をする限り大体卵嚢サイズの2つ分程度までが多かった思います。そこまで下に垂れはしないのですが出来るだけ卵嚢の下の方は空間が空く様しておいた方が安心だと思います。

孵化するカマキリの幼虫

こちらは高さや止まり木を工夫しましたが縦長のアクリルケースを使っていたので孵化時は良しとしてその後仕分ける際にカマキリの赤ちゃんがなかなか上に登ってこなくて案外大変でしたwまぁ仕分けをするのは人間の苦労なので孵化を無事に出来るのならそれでよかったのかもしれません。

卵嚢の孵化の瞬間

こちらの卵嚢は孵化しないと予測をしていた割とボッロボロの卵嚢だったので油断していたらこの普通の虫かごで生まれてしまいました。見事な横置きで本当申し訳ないのですが案外これでも間に合った様です。仕分けをする際には蓋の小窓を開け閉めするとカマキリの赤ちゃんが挟まってしまう懸念があるので蓋を丸ごとガバッと取るのですがその際に多少赤ちゃんが動き出して脱走の心配が今度は出てきます。このケースと蓋を丸ごと入れれる大きな水槽などがない限りはこういった虫かごでの孵化は後が大変でしょうね。

結果的に考えてどのケースでも孵化後1匹ずつ仕分けをするのは大変でしょうw

蓋を開封する際にはどのケースでも一回り大きなケースで囲ってあげて、その中で仕分けをした方がケースの隙間から落下したカマキリを見失う心配がないと思います。思わぬ隙間などからカマキリはちょろちょろ逃げるので。

カマキリの卵嚢を保管するケースは大きめを!!

オオカマキリを例にするとケースの大きさは本来20cm×20cmは欲しいところですね。

それだけ広さがあると赤ちゃんカマキリが渋滞したり重なってしまったりと言う事はほぼありませんでした。勿論誕生する数にもよるかもしれませんが150程度までなら対応出来るサイズだと思います。

ハラビロやチョウセンも同じ程度のサイズのケースで孵化をしましたがちょうどよい感じでした。

たまにぎっつぎつの飼育ケースや袋?などで孵化をさせている写真をネット上でお見掛けしますがそういうのは様々に問題があるのでオススメ出来ません。せめて通常の虫かご程度のサイズまでにしておきたいですね。

さすがにヒナカマキリなど小型のカマキリの場合はもっと小さくても大丈夫だと思いますが広さがあるに越した事はありません。だってカマキリ達が本来誕生をするのは果てしなく続く自然のフィールドの中ですからね。狭い飼育ケースでの誕生は本来想定していないわけです。

生まれたばかりのカマキリの赤ちゃんはとても小さく1㎝程度になるので大量に生まれてもそこまで幅はとりませんが。先に生まれた赤ちゃんが後から産まれてくる兄弟の孵化の邪魔をしないような配慮も大事です。

カマキリの初齢幼虫

孵化したカマキリ赤ちゃんが散り散りになる理由は?

カマキリは第一回目の脱皮を終えてイモムシのような形から立派にカマキリの姿になります。ある程度体が出来上がったのなら糸をつたって卵嚢の方によじ登り散り散りになります。

なぜ散り散りになるのか?そんなに急がなくてもいいじゃないかと思うのですが恐らく外敵から身を守る為なのでしょうね。カマキリの卵を狙って様々な虫が寄ってきます。孵化してすぐに蟻に食べられてしまったり、陸の王者カマキリも生まれたてはとてもひ弱なので犠牲になる事はとても多いようです。成虫になる個体は全体の1割程度にしか満たないそうです。しかし飼育下なら外敵の心配はありません。ここにはカマキリしかいませんから…

え?カマキリ?他のカマキリがいるの?

そうなんです。カマキリは共食いをするので先に産まれた兄弟に共食いされない為にも散り散りにダッシュで逃げないといけません。

過酷!これが自然です!!

幼齢のカマキリに合った餌が見つけられない、もしくは用意するのが面倒とみられる飼育者さんがたまに意図的にカマキリの赤ちゃん同士を共食いさせているのを見かけますがカマキリ的に望ましい形では決してないと思います。まぁあの量が生まれて来たら通常そうしたくなる気持ちもわかるのですが当サイトは共食い禁止を推奨しています★

しかしカマキリの赤ちゃんを個々に分けるのはとても大変な作業になります。しかし私は全てそうしました。そのくらいのガッツを持ちましょう。

ちなみに孵化後1日程度は共食いの心配は少ない様です。孵化をした日は体も柔らかいのですぐにではなく1日置いたくらいで仕分けをしてもいいかもしれないですね。私は不安なので念のため、朝生まれて体の色がしっかり茶色くなったのならばその日の夜中に仕分けします。せっかち&過保護なのです。

至難の業?!孵化後のカマキリの仕分け

いざカマキリの卵嚢が孵化した!となったらとても嬉しいものですが、気がかりなのが孵化したカマキリの脱走と孵化後の仕分けにし辛さです。

大量に生まれた初齢カマキリビッシリのケースの蓋を「ガバッ」っと外さないとならなくなるとかなり大変になります。この「ガバッ」っとを避ける為には蓋の内側に不織布やガーゼなどを1枚噛ませてゴムやテープなどである程度固定しておくと脱走の心配もないしその後の仕分けの際にもうまい事仕分ける事が出来ると思います。孵化不全を防ぎつつ良い方法を選んでいきましょう。

初期飼育ケースはこんなスタイルのものも

止まり木が怪しげですが不織布を使用した例

不織布なりなんなりを使用するのであればなんなら元の蓋はいらないですね。孵化不全を防ぐべく霧吹きをする時蓋をいちいち外すのも面倒かと思うのでそこはお好みで。私はこの2017年度は蓋もしていましたが2018年度は蓋を改良して手作りしたので使用しません。そもそもアクリルケースで卵嚢の保管をしたので蓋がなかったせいもありますが(笑)

孵化をした時にどうしたら赤ちゃんを分別しやすいか?やはりそこは「ガバッ」っとではなく隙間を小さ目に開けて少しずつ赤ちゃんを分ける事が望ましいでしょう。赤ちゃんの順番待ちを作るのです。

おそらくケースの角の部分だけをめくれるようにしておくと便利です。ある程度の赤ちゃんをプラスチックカップなど飼育ケースに1匹ずつ分けたのならば残りの数も少ないし「ガバッ」っといって大丈夫ではないでしょうか。と言うかそうせざるを得なくなると思います。奥にいてなかなか出て来ない赤ちゃんとかもいますからね。カマキリって本当動かないですよねw

ちなみにこの赤ちゃんを孵化させたケースから個別のケースに移動させる際には筆などの柔らかいものでサッと優しく払うと赤ちゃんへのダメージが少ないと思います。片手に筆、片手に個別用飼育ケースついでに孵化させたケースも脱走しない様に監視、周りも脱走者がいないか監視。まぁ大変です。猫の手も借りたいくらいです。我が家は子供がナイスサポートを毎回してくれていたのでなんとかやっていけましたが一人だとちょっときついかもしれません。※2024年現在は子供は全く手伝ってくれなくなりました…トホホ。成長したなヲイ。

上でも書きましたが孵化後はどうしても体が柔らかいので即の仕分けは危険です。しかし共食いを避ける為には早めに仕分けをしたいです。そうなったらとりあえず数時間は待ちましょう。目安として最低でも1~2時間程度でしょうか。カマキリの体が乾いて固まるのを待ちましょう。孵化後の赤ちゃんは2齢以降の脱皮後のカマキリと比べて比較的早めに動き出す様な気はしますが、体が黄色い内は乾いていないとみなして黒くなるのを待ちましょう。

孵化したケースの蓋を開閉する際には必ず白い布などをケースの下に敷くといいでしょう。脱走した赤ちゃんが見つけやすくなります。我が家はシーツの上でよくやってますwカマキリも個性豊かで跳ねる子は最初っから跳ねまくるので見失わない様に気を付けましょう。

孵化したてのカマキリは1㎝にも満たないサイズなのでわずかな隙間でも逃げやすいですが体は細くても+手足の幅などがあるので通常の虫かごの網目の隙間からは逃げる可能性は低いと思いますが、逃げ出す様な穴や大き目の隙間がないかくまなくチェックをして必要とあらばふさいでおきましょう。塞ぐ時はグルーガンなどで埋めるのをオススメします。

孵化後移動させるケースですが我が家では孵化後~3齢程度になるまではプラスチックカップで飼育をしています。

1匹ずつカップに分けられた初齢幼虫たち

仕分け後

こちらのカップはよくある飲み物を入れる用のプラスチックカップになります。お手軽価格で大量購入出来るのでオススメです。ちなみに私は100均一で購入。我が家は飼育数が多かったので敢えてこういったものを大量購入しましたが飼育数が少ないのであればペットボトルなど色々なものでも代用は可能だと思います。(初代は最初2ℓペットボトルの下の部分を切ったものでした)

大量だと場所をとってしまって部屋の中の足の踏み場が本気でなくなって生活に支障をきたしたので途中から階層を作りました。


カマキリマンション
こちらは本来靴棚です。こちらの商品と同じものですね↓

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値段が手ごろで日光浴させる時持ち運び出来て、使わない時に場所を取らなくてプラカップをみっちり並べられるぴっちりした形でなんかいいものないかな?って言うのでお店をブラブラ探していたところこちらに行きついたのですが。プラスチック素材なので軽いし水も大丈夫だし洗えるし白いのでカマキリの様子も分かりやすいし、大量飼育の際にはオススメしたい一品です。

我が家では3つ使用しました。(2018年度一時5棟まで増えました)シーズンオフの時は普通に靴やその他の物を乗せる棚として利用出来るので邪魔にもなりません。普通に家具としてオススメしたいですね(笑)

ただしこうした棚を使用するとどうしてもなかなか目の届かないカマキリも生まれたりします。並べるカップが2列なら見回せるのでいいのですが3列となると真ん中の列がどうしても見落としがちになります。使用をする際は適度にカップの場所を入れ替えましょう。日光の当たり加減もムラのないように。

我が家では脱皮が近そうだったり不具合のあるカマキリを一番上の段に、脱皮を無事終えたカマキリを下段に、など分けていました。ちなみにオオカママンションとハラビロマンションとチョウセン&オオカママンションの3つでここも分けていました(笑)この当時の部屋に遊びに来た友人や家族は「何の研究室始めたの?!」とビックリしてましたが写真撮ってたし多分喜んでました←

孵化後に1匹1匹仕分けをするって言う方はあまり居ない様な気もしますが…孵化後にどうするかまで考えて卵嚢の保管を行いましょう。

いざ産まれたら大量過ぎて手に負えない!そんな時は

大量のカマキリを飼育しきる自信がない、けど孵化をさせたい、もしくはさせてしまった場合には…

そのまま1日以内に逃がしましょう。

逃がす分には体が固まっている固まって居ないはもう考えなくていいでしょう。自然の中で乾いていない体で本来暮らしてますからね。まぁ出来るだけそのくらいは待ってあげた方が逃がす方としても安心でしょうが。

何も無理矢理全部飼育する事はありません。飼育したい分だけ残せばいいのです。

しかし逃がすと言う手はカマキリが正常な孵化する暖かい季節に産まれていてこそです

冬場の孵化をした場合にはこの手は無効です。どうにかして育てる方法を考えましょう。餌もない時期です。これで苦肉の策で共食いをさせる飼育者さんもいるのかもしれませんが出来れば見たくないですよね?兄弟同士の共食い。そもそもカマキリを飼育するのにカマキリを餌にするってカマキリを好きなのか嫌いなのかわけがわかりません。かわいがっているのかなんなのか…他の虫ならいいってわけではないですけどカマキリ飼育者として謎です。

出来れば共食いは選択肢から消しましょう。

ちなみに何度もあちこちで言っていますが原則飼育下に一度連れ込んだ生き物は外に逃がす事は禁止です。だからこそ孵化後すぐの支障のない範囲でを推奨しています。これでもダメと言う人はいると思うので気を付けましょう。

しかしどうしてもの選択肢としてやはり頭に入れておきたいですね★

いっそ冷蔵庫で保管ってどう?

秋、もしくは冬に持ち帰ったカマキリの卵の保存方法ですが確実に孵化を止める方法として冷蔵庫に入れておくという例もあります。

強制的な感じがしてしまうし、何かあっては困るので私は実践してませんが暖かい日が続いたり、日照りがあったりすると外に保管しておいても孵化してしまう事があるので保管には注意が必要です。冬場生まれた時に面倒を見切れるだけの気合をお持ちならそれも対応していけるかもしれませんがそうでない場合は確実に春まで生まれないようにする方法として冷蔵庫保管もひとつの手として頭の隅に入れておいていいものだと思います。真冬の雪国なんて思いっきり冷蔵庫の中より寒いですからね。悪影響はさほどないものなのだと思います。冷蔵庫に入れていたお野菜から見つけた蛾の幼虫も育てたらちゃんと羽化して飛び立っていきましたしね!

試すときはくれぐれも自己責任でお願いします!

【※2018.11.15→2019年の春に向けて卵嚢を確保していますが温度が不安定過ぎて屋外保管が不安過ぎるので今年はついに専用冷蔵庫を買いました。(家族に元々ある冷蔵庫での保管は拒否られたので)冷蔵庫保管については心配もありますが春前に生まれるよりマシと判断した結果です。カマ全盛期にはミルワームなども保管出来るのでウッキウキですがまずはうまく孵化をするように祈ってます】

↑孵化しませんでした。そもそも無精卵だったのかもしれない可能性が出て来ましたが結果がこれなのであまりオススメ出来ません。少なくとも私はもうやらないかも…。

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