一大イベント!脱皮と羽化1【兆候の見つけ方】

カマキリの飼育で一番の楽しみは脱皮&羽化のタイミング

他の昆虫を飼育している時に比べてカマキリの飼育をしている時の特別な楽しみはまさしくこの項目の脱皮と羽化のタイミングを目撃出来る事に尽きます。

昆虫となれば他のどの昆虫も脱皮や羽化をします。

ただその脱皮や羽化の形は昆虫によって違います。

蝶やカブトムシなどは幼虫→蛹→羽化して成虫

と言う様に「蛹」を経て完全変態=完全に姿形を変えるわけですけど、カマキリの場合は蛹を経て羽化をするのではなく、成虫の姿の状態で生まれて(前幼虫は経てますが)その形に翅が生える=不完全変態となります。

その為急に羽化をして成虫になるような感覚もありますね。蛹を経ている場合はダウンタイムみたいなものを挟みますけど、比較するとちょっと慌ただしいかな?w

他の昆虫も魅力的ではありますが、私にとってはひと際カマキリの脱皮&羽化は美しいものだと思っています。普段獰猛なカマキリがこの時ばかりはとても無防備でそして美しいのです。

しかしこのイベントがあるが為に恐らくカマキリの飼育は難しいと敬遠されがちになっている様な気がします。

どうしたらこの難関を乗り越えられるかをこちらの項目ではまとめていきたいと思います。

まず第一に

★脱皮で大切なものは湿度管理と安定した足場と餌の充実である。

この事をベースに考えていきましょう!

脱皮と羽化をする際の重点はまとめるとこのベースの部分となりますが、餌と水分、温度と日光、全ての項目の集大成がこちらの項目へと繋がっていきます。(その為他の項目と内容が重複するところがあります。)全ては繁殖へと繋げていく為の過程に過ぎませんがカマキリが繁殖を行う際に決して避けては通れない重要な過程となるのでしっかりサポートをしていけるようにしましょう。

長い項目になりますがご覧になってくださってる方は頑張って把握して下さい(笑)

脱皮に備えて餌をしっかり食べさせておこう!

カマキリは脱皮や羽化をする際にとても多くの体力を必要とします

今まで体を納めていた小さな皮から力を振り絞り賢明に体をくねり出し、大きな体へと成長を遂げる瞬間ですから要する力はきっと私たちの想像を絶するものなのではないでしょうか。

自然下ではここに至るまで、そして脱皮を完了するまでの全ての工程がカマキリの自力での作業となります。

それを飼育下で行う際に私たち飼育者はどういったサポートをしていけるのか、それをここではまとめていきたいと思います。

まずたくさんの力を必要とする脱皮をするその前にはしっかりと餌を補給しておかないと脱皮の失敗に繋がります。お腹がすいた力ない状態でこの行為へ挑んだ場合、脱皮途中に力尽きてそのまま死んでしまう事もあります。

人間でも食べ物は当たり前の様に体の成長へ直結していますがカマキリも同じと言う事です。

ただ人間は徐々に大きくなるのに比べてカマキリは短い脱皮時間=大体10分程度で大きな体へと成長をするのでこのパワーを集中して必要とするのだと思われます。脱皮に備えているカマキリの状態をしっかりと把握して必要な分の餌をしっかりと補給させる事が脱皮成功への第一歩になります。

脱皮や羽化に備えて栄養補給を心がけると言う事はつまりは日頃からカマキリの栄養補給に隙間を作らない事です。これは毎日たくさんの餌をあげればいいと言う話ではありません。

必要な分だけの餌をしっかり補給しておく事が大切です。

カマキリの餌が足りているかをチェックするにはお腹を見るのが一番早いと思います。

チェックの仕方は曖昧な表現にもなりますがカマキリのお腹の具合の項目をご覧下さい。

餌を食べるカマキリ

見逃さないで!脱皮&羽化の兆候

初めて脱皮や羽化に立ち会うとなるとその前兆と言うのを見逃しがちになると思います。

カマキリは様々なポイントでそれを教えてくれます。例をあげていきましょう。

ポイント1.皮膚変化

脱皮の前兆として体の皮が浮いてくるので表面がシワシワしてきて体が全体的に白っぽくなると言われています。こちらは小さい内は少しわかりにくいです。ひとつのバロメーターとして把握はしておきましょう。見慣れてくるとなんとなくわかる様になります。

ポイント2.断食(動かない)

脱皮や羽化の時期が近づいて来たカマキリは餌への食い付きが悪くなります。餌を投入してもあまり食べないで動きも悪く同じところでじっとし始めます。死んでしまったのではないかと心配になりますが脱皮前はいつもそうです。同じところでじっとし始めたのなら恐らくそこで脱皮をする可能性があります。しっかりと脱皮をするだけのスペースがあるかどうか再確認しましょう。

ポイント3.細かい動きが増える

体を揺さぶる様な動きをするようにします。身震いするような感じです。しかしこの動きは脱皮とは関係ない威嚇の時など様々な場面で見られる光景なのでこれだけで判断しないようにしましょう。それから身震いとはまた違った動きでお尻を上下にフリフリします。お尻と言うか腹部になるでしょうか。これは結構ゆっくりな動きになりますがカマキリは脱皮をする時に体液を節々に送り込んで体や羽を広げていくのでその工程に関係ある動きなのかなと思います。その他にもびっくりしたように瞬間的に激しい動きも見受けられました。

こちらの動画の脱皮前夜のカマキリを観察していたところこの瞬間的に激しい動きを何度か繰り返していました。力を振り絞っているように見えました。いつもと違う様子にワクワクして今か今かと待ってみるのですがこれがなかなか脱皮しないんですけどね。気長に待ちましょう。

ポイント4.背中が膨らんでくる

これ、他で見たどの記述にも見当たらなかったのでちょっと不安ですけど私が観察した上で確かな話です。

上の写真を見てわかっていただけるでしょうか?カマキリを飼育中の方はお手元のカマキリと比較してみて下さい。お腹のサイズは通常サイズという感じですが背中の方が盛り上がって見えますよね。お腹いっぱいの時はあくまで腹側が盛り上がってくるのですが脱皮前は背中がこうして盛り上がってきます。その証拠にこのカマキリはこの日の夜に脱皮をしました。すこしスタイル的にいびつな感じになりますがきっとここにはカマキリの大きくなる素が詰まっているのではないでしょうか。

対比、お腹がすき気味の通常カマキリ

空腹状態もカマキリにとって必要と言われています。通常自然界で暮らしているカマキリであればそこまで豊富に餌が手に入りません。空腹な時があって当たり前と言うのも頭の片隅に置いておきましょう。

それでおいてかつ、羽化へ向けて気を抜かず餌の調達を飼育者は行っていくべきであると思います。

私としては腹部の変化については脱皮が近くなっている事を確認する為の分かりやすいバロメーターになっているのですが飼育慣れして来てかつ、カマキリが少し大きくなってからでないとなかなかこの様子は汲み取るのが難しいかもしれません。詳しい腹部の変化はカマキリのお腹の具合の項目で図説などをしているので参考としてどうぞ。

兆候を読み取る事が出来るようになると色々と便利です。

脱皮に備えて環境を整えてあげる事が出来ると脱皮の成功率は上がるので覚えておきましょう。

ポイント5.翅芽がとがってバキバキ立ち上がってくる

こちらは羽化前の齢の限定になりますがこちらに記録しておきますね。

羽化前、オオカマキリだと我が家の場合は大体7齢時の後半、8齢になり羽化になる日が近くなると翅の元になる翅芽が目立って来ます。位置としては背部の付け根部分になります。

ちなみにこの翅芽は6齢頃から存在感を出していくのですがその頃はまだ薄い感じで中身が詰まってません。これが羽化前の齢になるとどんどん厚みを増してとがって浮き上がって来ます。羽化前日頃になると4つのとんがりが背部の付け根についている感じになります。

ちなみにこの齢についてはオオカマキリの場合になります。チョウセンカマキリを2017年度飼育したところ見る限り6齢で成虫になる個体が多かったので5齢辺りでこの状態へとなっていくかと思います。どの程度の齢で羽化するか分からない種類のカマキリ、外から捕まえて来た齢不明なカマキリなどがどのタイミングで羽化をするか備える為の目印としてとても役に立つかと思います。

実際の写真を見ていきましょう。

こちらは7齢時の羽化が近いカマキリ。とはいってもこの状態からだとまだ数日かかるかと思います。

厚みが増してバキバキしてますがまだ翅の形が分かるほどとがって立っているわけではなく平面的ですね。

ちなみにオオカマキリは褐色個体でも前翅の端の部分が黄緑色をしているのでそれが透けて見えるようになります。褐色個体なのに黄緑が見えて来たら翅は十分に育っていっているものと思われます。羽化は間近でしょう。

時折この部分の黄緑色が出にくい個体もいるのでそこは気を付けて下さい。

2018/07/18

成虫のカマキリの写真です。前翅の上の部分、黄緑色をしているのが分かるでしょうか。この部分の話になります。

こちらはまだちょっと薄めの状態ですね。こうして翅芽が目立って来てからどんどん厚みが出ていきます。

↓こちらはもうバッキバキの背中モリモリ状態。次の日頃に羽化をしました。

2018.07.20

この時点ではまだ翅芽が平面的ですがこれがどんどん持ち上がってとがって来ます。そしたら完全羽化は目の前となっている状態かと思われます。

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